詩集 ひさしぶりのバッハ 清岡卓行(きよおかたかゆき) より

 

小康

年老いて自宅にこもり療養すると
年老いた妻が美しく見えてきたりする。
看護してくれるからだろうか。
ではなぜ窓の外のくすんだ灰色の庭石が
眩しい存在に見えてきたりするのか。
午前十時すこし過ぎ門柱の郵便受けに
手紙らしいものの落ちる微かな音。
雨のなかは小春日和だ。
遠くに漂うのは少年の日に失った友情
淡いデカダンスを含んでいたその音楽。

☆小康(しょうこう)~病気や騒ぎ、悪い状況が一時的に収まり、少し落ち着いて安定している状態~スマホより。


多摩湖 4

ほとんど乾いている 冬至の昼の人造湖。
渇水? それとも 拡張かなにかの工事?
向岸の手前で 黄色いクレーンの車が
超小型の玩具の 遠く微かな戯れをする。

こんなに広かったのか このかりそめの夢は。

それに 魚もやはり 棲みついていたのか。
真中に残る繭形(まゆがた)の水溜まりで 子供が数人
動かぬ人形のように 釣糸を垂れている。

もし私の日日が いつかほとんど乾いたら
さらに白く乾くより ほかに術(すべ)はないから
クレーンではなく 子供の歌う風だけを。

へんに明るく暖かい この冬至の夢の跡。
湖の底の焦茶色の土には 草も穴もなく
砂丘に似て 低くなだらかな 翼がうねる。

☆繭形(まゆがた)~カイコが作る繭のように、中央が少しくびれた楕円形の形~スマホより。



多摩湖 6

冬至のあくる日の正午 青い空で
太陽をわたしに隠す 雪の城。
その垣の罅(ひび)から 漏れた矢の 光の束が
人造の湖を 底まで突き刺す。

おお 神話の芽生えそうな一瞬
軽鴨(かるがも)の浮くさざなみの そこだけの金の鏡。
わたしには どんな神も棲まないのに
その鏡から立ち昇る 竜のまぼろし。

きのうの夜 幼い子と 歌って潜った
柚子(ゆず)風呂の芳しい 湯気の香りが
心のまわりに まだ漂っているのだろうか?

夢想に手と足を奪われた 父から離れ
幼い子は自転車を 山茶花(さざんか)の母へ
堤防の果てへと 一直線に走らせている。



おしゃれな雑貨屋で真鍮で作ったピンバッジを買って、トレーナーの袖に取り付けたい、と今頭にそれが浮かんでいます。実行するかもしれません。

軽く読む喫茶店での読書は気持ちがよいです。今日は図書館で借りた詩集と辻仁成さんのエッセイを携えて。エッセイおもしろい。まだ最初の方だけを読んで、悪がきだなー、と、でもなんか懐かしい。

おすっしーが食べたい。いつもなら、遅くスーパーに行った時に半額か割引になった時に買うが、今日は通常のお値段で買っちゃおうかしら。と思うと、テンションが上がり始める。やっぱり、自分で作るかなー、迷う。ドン・キホーテで買ったかに缶を、丸ごと使ったかに玉あんかけは最高に美味しかった。あの時は、ちゃんとした茹でたけのこも使ったし。焼酎で保存している生産者コーナーのものだ。焼酎で保存している、とかいうのが私のハートを掴まえる。うむ。

いい土曜日だな。

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