伝命使(ⅰ)

美しい人。

またあなたに会えて、あなたは誰かを気にする。

あなたの大事な人は、あなたにそっくり。

これから、歩いて行く時間は

長いけれど、きっとあなたのように美しい。

だから、顔を見せて頂戴。

あたしは、あなたのような人に、会えることが嬉しいの。

あたしは美しくはないけれど、あなたに触れて、

素敵になれるの。
さあ、触れて、あなたを現わして。すべて。

(そうやって、私は救われたことを知って、穏やかに手放すことをして、引かれる方に行くことが出来た)

命は時々、また引き合うの。
それでいい時もあるけれど、大体、みんなもっと未練がある。



お前の欲望、興味、存在証明。
隠れているから、そんな物に支配されて、恐怖を喜んだ。
お前は得ることが出来なかった。証明も出来ない。
いつか、それに気付く。これからが、そう。
長い長い戦場の獣。隠れているから喜んでいる。
さあ、お前はもう人ではない。
聞こえるか、あの声が近付いてきた。
(それでも、許す人がいる。あの女の子がそうだ)
ここからを出ても、ずっと変わらない。                「ゴースト」



小学五年生の時、四つ上の姉が観ていたあるミュージシャンのライブ映像。曲が変わって、ボーカルのネイルズが青白い照明に反して、椅子に座りアコースティックギターを持つ。観客と反対にマイクがあって、歌い始める。ヒャーっと音が鳴って、後にそれがハウリングというノイズだと知るのだが、日本語の字幕が出て、何かを憐れんでいる曲の様だった。
...no matter how...thinnking...                you

最後にyou、と言ったのだけは分かって、字幕では君だよ、と投げかけられていた。投げかけられた、と感じてカメラが横からネイルズの顔を映していて、ネイルズは横目でカメラを観て、もう一度言った。
you  君だよ

あのバンドは歌詞と曲はいいけれど、大体いつも題名がださい、と姉は言っていた。僕は思い立つように題名を考えていて、それに合う歌詞を書き始めていた。それから、なぜか姉はライブ映像をもう観させてはくれなかった。
「あのバンド人によっては、やばいんだよね」
姉はそう言って、含み笑いをした。





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